TORNADO GR4 FLIGHT MANUAL

 この度は私ぐれぴょん作成のトーネードGR4をダウンロードしていただき、誠にありがとうございます。
ここでは当機体の導入方法と、機体紹介、取扱い方等について解説していきます。長文になりますが、最期までお付き合いいただくとよりトーネードを深く知ることが出来るでしょう。
少々専門的な部分が多く、また自由度の高いYS Flightには不必要、あるいは関係ないところもありますが、これを機に操縦の難しさ、計画の重要性、1機種に対する熟練が必要であることを改めて認識していただければ幸いと思います。
こんな長いのは読んでいられない、という方につきましてはは飛行手順だけ一読されることをお勧めします。
なお、当機体は2010/12/17付けのテストバージョンに対応して製作されています。それ以外のバージョンでの確実な動作は保証致しかねますのでご了承ください。


メニュー

1.導入方法 2.機体紹介 4.各国の運用実績 5.派生型 6.機体システム 7.飛行手順 8.制限事項 9.免責事項


1.導入方法

 ダウンロードした圧縮ファイルを解凍すると、「aircraft」、「User」というフォルダが出来ますので、これらをYS flight simulatorのシステムフォルダに移動、またはコピーし、上書きしてください。

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2.機体紹介

 トーネードはイギリス、ドイツ、イタリアの3国4軍(ドイツは空海軍)で共同開発された全天候型多用途攻撃機である。
ことのはじまりは旧式化したF-104スターファイタの後継機計画のため1968年に西ドイツ、ベルギー、イタリアが立ち上げたMRCA(Multi Role Combat Aircraft)計画であり、後に同じくF-104後継機選定のためにカナダが、イギリスがTSR2、F-111Kの開発中止を受けて同計画に参加した。

 参加国の航空機製造会社は共同開発のためにパナヴィア(PANAVIA)社を立ち上げたものの、後にベルギーとカナダが財政難を理由に脱退、オランダも同じく脱退してしまい、結局パナヴィア社の株式はイギリスとドイツがそれぞれ42.5%、残りの15%をイタリアが保有することとなった。
生産分配はイギリスが前部胴体と尾翼部分、ドイツが中央胴体、イタリアが主翼部分を担当している。また同様に搭載されるRB199エンジンもワークシェアリングされ、その比率はパナヴィア社の株式保有とほぼ同じである。

 しかしながら各国の性能要求は大きく異なっており、例えばイギリスはF-4ファントムIIに代わる能力も欲し、西ドイツはSTOL性を重視しスラストリバーサの搭載にこだわったが、最終的には可変翼、アフターバーナー付きターボファンエンジン、複座という形態をとることにより、各国の要求をほぼクリアすることが可能となり、イギリスも後に防空型を独自開発するなどして問題は解決されていった。

 試作機はイギリス、ドイツで6機ずつ、イタリアで3機、地上試験用の1機の合わせて16機が作られた。3箇所の生産ラインとフライトテストセンターが存在し、不必要な重複もあったが、これは各国の運用要求、環境が違えばこそであり、多種多様な兵装を搭載することが求められたトーネードにおいては必ずしも不適切なものではないと言えるだろう。
1974年に西ドイツの試作機が初飛行し、「トーネード」と命名された。当初は単に「トーネード」と呼んでいたが、イギリス空軍は地上攻撃/偵察(Ground attack/Reconnaissance)の用途を想定していたことからトーネードGRの名称を使用し、パナヴィア社では阻止攻撃(InterDictor-Strike)型としてトーネードIDSと呼称した。

 1976年7月にイギリス、ドイツ空軍向けのバッチ1の生産が承諾され、トーネードは本格的に配備に向けて動き出した。ドイツ、イギリス空軍向けの最初の機体は1979年に、イタリア向けは1981年に配備された。
生産終了は1998年のサウジアラビア空軍向けの機体であり、大規模な輸出は同空軍だけだったにも関わらずトーネードはほぼ1000機という堂々たる規模の生産を達成するに至った。

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3.運用実績

<ドイツ空軍>

 1979年に最初の機体が配備されて以来、ドイツ空軍は35機の電子戦(ECR)型を含む247機のトーネードを保有していた。
当初トーネードは5個飛行隊分のF-104スターファイターを代替するものであったが、2個飛行隊は解散し、更にもう1飛行隊はECR型に置き換えられている。
ドイツ海軍最後のトーネード飛行隊が解散した後、ドイツ空軍は当該トーネードに偵察機材を搭載して偵察(RECCE)型を作り、それをもって偵察飛行隊を編成した。

 ドイツ空軍のトーネードの初実戦は1992年のボスニア戦争に参加したときである。これはドイツ空軍にとっても第二次世界大戦以来、初の実戦経験でもあった。またボスニア戦争にはイギリスとイタリアのトーネードも参加している。

 2000年にトーネードIDS、ECR、RECCEはASSTA1というアップグレードを施された。ASSTAとは「Avionics System Software Tornado in Ada)の略であり、それが意味する通り兵装コンピュータやデータパスのアップグレードを行うものであった。
また同時にGPS受信能力、レーザINS、自衛用ECMポッドが付与され、兵装コンピュータが更新されたことで、HARM III/IV/VとコルモランII対艦ミサイル、GBU-24レーザー誘導爆弾とそれを誘導するLightning IIレーザーデジグネイターの運用が可能になった。
ASSTA2アップグレードはECR、RECCE向けのもので、デジタルアビオニクスへの更新、新しいECM装置、トーラスKEPD 350巡航ミサイルの運用能力付加が主内容である。


<ドイツ海軍>

 ドイツ海軍は112機のトーネードIDSを受領し、1994年までに2飛行隊に配備された。そのうち1飛行隊については解散され、残る1飛行隊も2005年に解散、前述したようにドイツ空軍に偵察飛行隊として再編成された。


<イタリア空軍>

 イタリア向けの最初の試作機の初飛行は1975年である。イタリア空軍はその後100機のトーネードIDSを受領し、うち15機はECR型へ転換されている。
イタリア空軍のトーネードは1991年の湾岸戦争の際、対空機関砲(AAA)の撃滅に参加し、1機が失われている。また、1999年のコソボ紛争ではIDS型が爆撃任務を、ECR型がSEAD任務を請け負った。

 トーネードの継続的な能力向上計画として2003年にアップデートが開始され18機のIDSが対象となった。
またイタリア空軍はF-104スターファイターの運用終了とユーロファイター運用開始までの隙間を埋めるべく、イギリス空軍から24機の防空(Air Defence Variant)型を10年間リース契約で使用している。
同空軍のIDS/ECR型はF-35ライトニングIIに置き換えられる予定である。


<イギリス空軍>

 1974年にイギリス空軍向けの試験機が初飛行し、1979年に最初のGR1が配備され、合計で228機が生産された。
これらトーネードGR1は湾岸戦争、コソボ紛争、砂漠の狐作戦で使用され、湾岸戦争においては60機のGR1が前線展開し、無誘導爆弾によるトス爆撃、JP233ディスペンサー爆弾などによりイラク軍の飛行場破壊任務を請け負った。
湾岸戦争においてJP233の搭載能力と低空侵入能力を持った機体はトーネード以外なかったため、多国籍軍の第一撃を担ったわけだが、当時の情報誌はトーネードがこれら低高度攻撃中に大損害を被り、やむを得ず中高度攻撃に切り替えたと発表したため、トーネードシリーズ全体に対する評価は日欧米問わず低い。
が、実際には中高度攻撃に切り替えたのは飛行場制圧任務が終わった後であり、低高度攻撃任務中の損害数は4機、中高度に切り替えた後は2機、非戦闘中に墜落した1機も含めると合計7機が損耗したにすぎない。
これは開戦当初、濃密な対空砲火を有するイラク飛行場上空を30mという超低空で直線飛行しなければならなかったことを考えると、むしろ驚異的に低い数字とも言える。

 飛行場をひと通り制圧した以降は中高度からの爆撃が行われたが、無誘導爆弾による爆撃では満足な命中精度が得られなかったため、レーザー誘導兵器とレーザー照射能力を持つ機体の派遣が急遽要請された。
照射ポッドを搭載したバッカニアが素早く派遣され、バッカニアがレーザー照射を受け持つことで精密爆撃が可能になった。またトーネードだけで精密爆撃出来るよう試作品のTAILD(Thermal Imaging Airbone Laser Designator)ポッドも少数支給された。

 また飛行場破壊だけでなく、SEAD任務にも従事したトーネードはALARM対レーダーミサイルを使用し、イラクの防空レーダ網に対する攻撃を実施した。
トーネードGR1A偵察型も湾岸戦争で初めて実戦に参加した。主としてスカッドミサイルの移動式発射台の捜索と、地上軍進撃ルートの哨戒が実施された。

 18機のADV型も湾岸戦争でイラク機の南進を防ぐために任務についていた。この任務で敵とのレーダコンタクトはほとんどなかったとされるが、出番があったとしもイラク機はすぐに回頭してしまったので、華々しいスコアを挙げることはかなわなかったものの、イラク機を封殺する点において任務は完全に達成された。

 湾岸戦争が終結し、1993年にイギリス国防省はトーネードGR1のMid Life Update(MLU)計画を立ち上げた。実のところアップデート計画は1984年の段階で存在したが当時は必要性がないとして見送られた。
MLU計画にゴーサインが出たのはひとえに湾岸戦争で得た教訓からであろう。
翌年の1994年には最初のGR4が進空したが、部隊配備されたのは1997年、前線活動に参加出来るようになったのは1998年と比較的最近である。
トーネードGR4の初実戦は1992年から2003年まで続いたイラクの飛行禁止空域監視任務、いわゆるサザンウォッチ作戦である。GR4はイラク南部の大部分を監視し、時にイラク地上軍を爆撃した。

 1999年のコソボ紛争ではGR1が再び作戦に参加し、同時にGR4へのアップデートは更に進められ、2003年に最後のGR1がアップデートされ、合計で142機のGR4がイギリス空軍に引き渡された。
GR4がフルタイムで作戦行動に従事したのは2003年のイラク戦争である。この時、はじめてストームシャドウミサイルが実戦で使用された。また滑走路攻撃には向上型ペイブウェイが使用され、能力向上の一端を示したのだった。

<サウジアラビア空軍>

 サウジアラビア空軍は48機のIDS型と24機のADV型を受領している。(イギリスとサウジアラビア間で取り交わされた武器販売記録ではAl Yamamah Iと言われる)
同空軍向けのIDS型の初飛行は1986年であり、ADV型が配備されたのは1989年のことであった。
同空軍もまた湾岸戦争に参加しており、IDS型はイギリス空軍のGR1と同じくJP233と無誘導爆弾による攻撃を行い、ADV型は戦闘空中哨戒を行った。なお、1機のIDS型が低高度攻撃任務中に撃墜された。

 サウジアラビア空軍は1993年には48機のIDS型の追加発注を行っている(Al Yamamah II)他、2006年にはGR4と同じようなアップグレードをBAEシステムズと契約し、2020年までに80機に対し実施するとされている。

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4.派生型

<トーネードIDS>

 トーネードの基本型であり阻止攻撃型。固定武装としてマウザーBK27 27mm機関砲を2門備える(1門当たり180発)
慣性航法装置、地形追従/マッピングレーダを備え、これにより超低高度全天候の全自動手放し飛行を可能にしているなど、当時としては画期的な戦術航法能力を備えており、高度な低高度侵入能力を有している。
エンジンはRB199エンジンで初期ロットはMk101であり、以後は改良が重ねられ僅かずつではあるが推力が向上している。低高度での燃費と性能に優れるものの、高速、高高度ではそれほどではない。
攻撃機としては珍しくスラストリバーサを装備し、また主翼にはそのほぼ全幅に渡る二重隙間式のファウラーフラップとスラットが、内翼(グローブ)部分はクルーガーフラップを有している、クルーガーフラップは展開時の機体特性の変化とその恩恵のバランスからか固定されて使用できないようになっていることが多い。
またこれだけの高揚力装置を備えていることから良好なSTOL性を発揮すると思われがちだが、実際のところ低高度侵入を重視した機体形状(低空の突風の影響を最小にするため主翼面積が小さい等)や、増槽、各種兵装搭載時にはかなりの大重量になるため、実際の運用上は飛び抜けてSTOL性が高いわけではない。
しかしながら軽装備、とりわけ帰還時などのSTOL性は高いであろうし、これだけの装備がなかった場合は更に離着陸速度が速くなるわけなので決して無駄ではない。
ほとんどの機体には機首右舷に空中給油装置が取り付けられている。これは当初イギリス本土の部隊にのみ必要とされていたが、後にほとんどの機体に装備されたものである。

<トーネードECR>

 トーネードIDSを改修し、ドイツ空軍が開発した電子戦闘偵察(Electronic Combat Reconnaissance)型。イタリア空軍も一部のIDS型をECR型へ転換して使用している。
主としてSEAD任務に使用されるため、ECMポッドを搭載する他、レーダ波を探知・分析する装置を搭載するために機首の機関砲2門を撤去している。

<トーネードRECCE>

 トーネードIDSに偵察ポッドを搭載した偵察型。基本的にIDSとほぼ同様。

<トーネードGR1/GR4>

 イギリス空軍の配備型。原則としてIDSに準拠するが、機首右下にレーザ測距目標指示装置(LRMTS)が装備されている。これは目標までの直線距離を測り、ターゲットの情報をアビオニクスに入力させるのに使われる。
地上員が照射したレーザーも利用することができるが、レーザー誘導爆弾を誘導するものではない。
後にALARM対レーダーミサイルを使用できるように改修され、SEADも主任務のひとつとなった。

GR4はGR1の欠点を修正し、低高度侵入能力を保ちつつ中高度からの精密攻撃能力を向上を狙ってMLU(Mid Life Update)を施した機体である。主に湾岸戦争の戦訓からくる要望である。
アビオニクス、兵装システム、コンピュータシステムが一新され、広角HUD、GPS受信能力、FLIR(赤外線前方監視装置)、NVG(暗視装置)が追加装備され、夜間攻撃能力の向上とレーダに頼らない航法能力を獲得している。

<トーネードGR1A/GR4A>

 トーネードGR1AはGR1に偵察機材を搭載したタイプで、機関砲のスペースにTIRRS(トーネード赤外線偵察システム)を、胴体下にIRLS(赤外線ラインスキャナ)を搭載している。
TIRRSはSLIR(赤外線側方監視装置)から成り、斜め側方の画像を、IRLSは垂直方向の画像を撮影することによって機体左側の水平線から右側の水平線までの画角を得ることも出来る。
これら電子光学式のセンサーは光学式カメラより全天候能力に優れ、現像などの工程を省略し、機上で関心地域の画像を確認出来た。
イギリス空軍は30機のGR1Aを発注し、うち14機は既存のGR1からの改修、16機が新規製造であり、25機のGR1AがGR4に改修されGR4Aとなっている。

<トーネードGR1B>

 トーネードGR1BはGR1の対艦攻撃型である。
旧式化したバッカニア対艦部隊を置き換えるためにGR1にシーイーグル対艦ミサイル運用能力を持たせたのだが、水上艦艇の脅威に晒される機会が減り、シーイーグル対艦ミサイル自体の弾体寿命が迫っていたため、予算との兼ね合いから対艦攻撃専用機は必要ないと判断され、残存するGR1BはGR4やGR4Aに改修された。

<トーネードADV>

 トーネードADVはイギリス空軍がIDSをベースに開発した防空型である。ADVはAir Defence Variantの略字である。
トーネードの開発初期段階からイギリス空軍は老朽化した防空戦闘機イングリッシュエレクトリックライトニングを代替する機体を模索していたが、IDSにはその要求は盛り込まず独自に開発したのがADVである、とも言える。

なので派生型ではあるが純粋な攻撃機ではないのでここでの説明は割愛する。詳細はWikipedia、「トーネードADV」の項を参照すること。

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6.機体システム

<概要>

 トーネードは複座、ターボユニオンRB199を双発で備える陸上機である。機体は全金属製であり、3車輪式の降着装置が油圧/電動で駆動される。
乗員は予圧と空調の恩恵にあずかることができ、射出座席も備わっている。
機体後方に搭載されたエンジンは再燃焼装置、逆推力装置を備え、インテークは2次元可変断面式である。インテーク両脇には補助インテークが設置され、離着陸時など低速度かつ高出力時に開く。
APUが装備され、エンジンスタート時やシステムチェック時の電源確保に使われる。
燃料タンクは大きく胴体内タンクと翼内タンクに分けられる。外部燃料タンクとして胴体下のパイロンに増槽が2つ、主翼下のスウィベリングパイロンにもそれぞれ装着出来る。
油圧系統は独立した2系統があり、1次操縦系統はテイルロン、スポイラーとラダーを作動し、安定増強装置(CSAS)と呼ばれるフライバイワイヤでコントロールされている。2次系統は可変翼、エアブレーキ、フラップ、スラット、クルーガーフラップを駆動する。

<燃料系統>

 トーネードは前述したように胴体内タンクと翼内タンクを有し、胴体下と翼下に外部燃料タンクが搭載可能である。通常、燃料系統の作動は全自動で行われ、全ての燃料は胴体内タンクを経由してエンジンに供給される。
外部燃料タンクの燃料は抽気圧によって翼内タンクへ移送され、翼内タンクの燃料はトランスファーポンプによって胴体内タンクへ移送される。最終的に胴体内タンクのブーストポンプによってエンジンへの燃料供給がされている。
また燃料は作動油と潤滑油の冷却にも用いられ、高温となった燃料はラムエアにより冷却された後、燃料タンクへ戻される。全ての燃料タンクは与圧され、高空での燃料蒸発を防いでいるほか、各ポンプのキャビテーションも防止している。
胴体内タンクの容量はJP-4で3766kgであり、翼内タンクは738kg、落下タンクは1個当たり1132kgである。
空中給油装置を機首右側に有し、飛行中(ギアアップ時)にのみ使用可能である。

<エンジン>

 ターボユニオンRB199エンジンは3軸流式の再燃焼装置、逆推力装置を有している。
エンジンは2段の低圧タービンで駆動される3段の低圧コンプレッサーと、1段の中圧タービンで駆動される3段の中圧コンプレッサー、1段の高圧タービンで駆動される6段の高圧コンプレッサーによって構成されている。
逆推力装置はバケット式であり、アイドルからミリタリーまで約50%の推力を前方に偏向出来る。
また偏向された高温ガスがエンジン、垂直尾翼、エアブレーキを損傷する可能性があるため、エアブレーキについては逆推力中の使用を固く禁止すると共に60kt付近で逆推力装置の使用をやめること。

<外部灯火>

 左右インテークと尾翼に航法灯を有している。閃光/点灯状態をスイッチ選択できるが本機ではフラップ動作によって自動的に切り替わるようになっている。
主翼端と尾翼には障害灯が、胴体上部と下部に衝突防止灯が備わっている。
着陸灯は主脚ドアに、滑走灯はノーズギアに装備されており、最大30分の使用が可能だが、その後15分の冷却時間を設けること。

<操縦系統>

 操縦系統はテイルロン、スポイラー、ラダーを制御する一次操縦系統、可変翼、エアブレーキ、フラップ、スラットなどを制御する2次操縦系統に分けられる。
操縦モードにはCSAS、DIRECT、MECHANICALの3モードがあるが、ここではCSASにのみ言及する。

 テイルロンのピッチコマンドは+5〜−25度の範囲に限定されているほか、テイルロンのロール差動については+5〜−5度に制限されている。したがってテイルロンの最大動作角は+10〜−30度である。
スポイラーは主翼後退角50度以下のときに作動し、ロール制御に寄与するほか、地上ではグランドスポイラーとして機能する。動作角は0〜+50度である。
ラダーの動作角は離着陸時に±30度であり、一定速度になってリミッターが働くと±5度に制限されるが、本機ではギア動作によって切り替わるようになっている。
可変翼は後退角25度から67度の間で動作する。典型的なセッティングとしては25度、45度、67度であり、本来手動操作だが本機では0.65M〜0.98Mの間で自動的に動作する。
高揚力装置として前縁スラット、2重隙間式の後縁ファウラーフラップ、クルーガーフラップを有するが、クルーガーフラップは固定されて使用できない。
フラップポジションはUP、MID、DOWNの3段階あり、YS FlightにおいてフラップフルダウンがMIDポジションに値し、更にそこから推力偏向キーを一杯に押しこむとDOWNポジションへ移行する。したがって推力偏向キーだけの使用は表示が乱れるためしてはならない。
また主翼後退角が50度を超えるとフラップとスラットは自動的に収納される。(実際には収納されないので後退角50度以上でフラップは使用してはいけない)
エアブレーキは0〜50度の間で展開するが、高速時には角度が制限される。

<キャノピー>

キャノピーは地上(ギアダウン時)で動作する。動作角は35度である。

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7.飛行手順

<BEFORE TAKEOFF CHECK>
1.Wing Sweep - 25degs
2.Flaps - 100% DOWN (MID POS)
3.Airbrakes - CLOSE
4.Flight controls - FULL&FREE
5.Canopy - CLOSE

<TAKEOFF>
離陸にはNORMAL、PERFORMANCE、HEAVY MASSの3方式がある。いずれの場合もMAX REHEATで離陸する。
通常はNORMAL TAKEOFFを用いるが、滑走路長が短い場合にはPERFORMANCE TAKEOFFを用い、HEAVY MASS TAKEOFFは離陸重量が25,000kgから29,000kgの間にある時に用いる(本機では使う必要性はない)
離陸のデータは100% FUEL、兵装なし時のものである。兵装を搭載する場合は5ノットを加えること。

用語の定義
Vrot:
ローテイションスピード。離陸姿勢をとるために操縦桿をひきはじめる速度。
Vto:
離陸速度。ここでの離陸速度は規定の高度に達した時の速度ではなく、メインギアが地上から離れた時点での速度をいう。
AOA UNITS:
AOAの値。YS FlightではAOA計がないので代わるものとして機首延長線にある十字のマーカー(ウィスキーマーク)とベロシティベクターがなす角度を読み取ってAOAとすることが出来る。
しかし実際には取付角度、位置、速度などによって誤差が大きく、必ずしも現実と一致しないので注意が必要である。
本機の場合、地上接地時に2度下向きに機首が向いており、その姿勢でもってAOA unitsが0の基準となっている。したがって以降表記してあるAOA unitsから−2した値が本来取るべきピッチ角度である。
例えば仮に指示AOAが10unitsと表記してあった場合、ウィスキーマークを8度ピッチ付近で固定し、ベロシティベクターが0度ピッチを示すようにすれば、それが10units AOAである。
ATTITUDE:
AOAとは関係なくWマークを保持すべきピッチ角である。

[.NORMAL TAKEOFF]
1.Flap - 100% DOWN (MID POS)
2.Vrot - 150KIAS
3.Rotation AOA - 13units
4.Vto - 180KIAS
5.Climb attitude - 10-12degs
6.Safty ALT, Positive climb - GEAR UP
7.Flaps UP - 215KIAS

[PERFORMANCE TAKEOFF]
1.Flap - 100% DOWN (MID POS)
2.Vrot - 140KIAS
3.Rotation AOA - 15units
4.Vto - 170KIAS
5.Climb attitude - 30degs
6.Safty ALT, Positive climb - GEAR UP
7.Flaps UP - 215KIAS

[HEAVY MASS TAKEOFF] - 25.,000kg時
1.Flap - DOWN (FLAP FULL DOWN + VTOL Nozzle fully down)
2.Vrot - 160KIAS
3.Rotation AOA - 13units
4.Vto - 175KIAS
5.Climb attitude - 10-12degs
6.Safty ALT, Positive climb - GEAR UP
7.Flaps MID - 180KIAS
8.Flaps UP - 230KIAS

<CLIMB>
通常はMAX DRY CLIMBを使用する。離陸後300ノットに達した時点でREHEAT OFFにし、計画巡航高度まで上昇する。
MAX REHEAT CLIMBの場合は離陸後引き続きREHEATを使用し続ける。

[MAXIMUM DRY CLIMB]
1.Wing Sweep - 25degs
2.Climb speed - 340KIAS/0.65MACH

[MAXIMUM REHEAT CLIMB]
1.Wing sweep - 45degs
2.Climb speed - 0.85MACH

<CRUISE>
巡航速度はあくまで目安であるので、必ずしも従う必要はない。

Sea Level:420KTAS/0.63MACH
5000ft---:450KTAS/0.69MACH
10000ft--:480KTAS/0.75MACH
15000ft--:480KTAS/0.77MACH]

<DESCENT>
降下は3種類あり、状況によって使い分けるが通常はTACTICALを用いる。

RAPID----:WING SWEEP 67deg, AIRBRAKE OPEN, POWER IDLE, SPEED 450KT
RANGE---:WING SWEEP 25deg, AIRBRAKE CLOSE, POWER IDLE, SPEED 250KT
TACTICAL:WING SWEEP 45deg, AIRBRAKE CLOSE, POWER 80%, SPEED 420KT

<LANDING>
着陸のデータは燃料75%残存、兵装なしの状態でのものである。
燃料が15%減るごとに着陸速度を5ノット減ずること。したがって着陸前は燃料残存量のチェックを怠らないこと。
新しいHUD表示で残存燃料がパーセントでわからない場合は、一時的に以前の簡易HUDに戻し、数値をチェックすること。
なお、本機は全ての主翼後退角で安全に着陸が可能である。

[360 LANDING]
LANDING PATTERN
フレアは接地直前にスムーズに行い必ずメインギアから接地すること。
また、衝撃を緩和しようとフレアをかけすぎるとテイルロンの影響で降下率が高まり、脚を破損する恐れがあるため15units AOA以上のフレアはかけないこと。
なおフレアの際、パワーはわずかに減じるだけでよい。
またアプローチ中、エアブレーキを展開すると横風に対して悪影響が出るので展開してはならない。

[NO FLAP LANDING]

ノーフラップランディングは主翼後退角25度で行う。
12units AOA、185KIASでファイナルアプローチを計画し、タッチダウンで15units AOAになるように速度を調整して着陸すること。

<AFTER TOUCHDOWN>

接地と同時に速やかにパワーをアイドルまで絞った後、円滑にノーズギアを接地させ、スラストリバースとホイールブレーキをかける。
スラストリバーサで偏向された高温ガスが垂直尾翼、エンジンカウル、エアブレーキ周りに損傷を与える恐れがあるため、スラストリバーサは60ktを目安に使用をやめること。

<AERODYNAMICS BRAKING>

エアロダイナミクスブレーキは機体の空気抵抗を利用して減速するブレーキテクニックである。主にスラストリバーサが使用できない場合に用いる。
しかし訓練のためにスラストリバーサが使える状態で、本ブレーキング中にスラストリバーサを使用すると激しいノーズダウンモーメントが発生し、ノーズギアを損傷するおそれがあるので、使用してはならない。

実施要領は接地後、パワーをアイドルに絞ると同時に、再浮揚しないよう注意しながら、機首上げ18度をなるべく長く保ち、ノーズギアが接地したら最大ブレーキをかける。
通常100kt付近でノーズが下がり始めるので、兆候を察知したら無理に保とうとせず、円滑にノーズギアを接地させること。
なお、外部燃料タンクや装備品を搭載している場合の機首上げは14度に制限される。

<TOUCH AND GO>

接地後、ノーズギアを接地させず140kt以上を保ち、再び出力をMAXIMUM DRYに上げ、再浮揚し安全を確認したらランディングギアを上げる。
その後は離陸手順に従い、指定された速度でフラップを収納していくこと(DOWN to MID,180KIAS, MID to UP, 230KIAS)

<GO AROUND>

安全な着陸が出来ないと判断した場合、迷うこと無くゴーアラウンドすること。再上昇、再進入、着陸に必要な燃料はおよそ5%である。
実施要領は、安全でないと判断した時点で直ちにパワーをMAX DRYまたはMAX REHEATにし、上昇姿勢をとる。
その後安全を確認したらランディングギア、フラップを上げ、360 Landingのパターン高度まで上昇旋回しながらダウンウィンドに入ること。
なお、フラップの上げ速度は前項のTOUCH AND GOと同様である。

<AFTER LANDING>

着陸し滑走路を出たなら、時間短縮、後続機のために本チェックはなるべくタクシー中に行うこと。安全でない場合、後続機がない場合は停止してから行っても良い。
1.Landing/Taxi light - As required
2.Flaps - MID (VTOL Nozzle fully up)
3.Flaps - UP (FLAP UP)
4.Canopy - As required

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8.制限事項

<空中給油>
空中給油の最適速度は250〜320KIASである。

<着陸装置>
脚下げ中のG制限は0〜+3Gである。
脚下げ後(ダウンロック)は−2〜+4Gである。

<速度制限>
最大着陸装置操作速度(VLO):250KIAS
最大着陸装置下げ速度(VLE):280KIAS

<AOA制限>
失速AOAは21units AOA。
空中給油装置を装備している場合は20units AOAである。

<最小速度>
主翼後退角25度:200KIAS(クリーン)
主翼後退角45度:240KIAS(クリーン)
主翼後退角67度:250KIAS

<横風制限>
最大横風成分は25kt(突風含む)である。

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9.免責事項

当データのご利用につき、何らかのトラブルや損失、損害等につきましては私ぐれぴょんは一切責任を持ちません。
またYS Flight simulatorの開発者、山川機長にも勿論責任はありませんので、絶対に問い合わせるようなことはしないでください。

また、当マニュアルで示した情報の正確性、最新性、適切性など、その内容については一切保証はいたしません。

当機体の著作権はぐれぴょんが有し、個人的な使用を除き、いかなる改造、改変も認めません。
つまりオフラインで撮影作業のために一部ディティールを変更した、などの変更は一向に構いませんが、例えば何十周年記念塗装を作りたい、や、どこどこの部隊機を作りたいといった場合は事前にご連絡ください。

Grenium
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